「税金を国に納めるくらいならその一部をこういう暖かい施設のためにボランティアでがんばっている人たちのために支援しよう、そういうことをやってみたいと感じました。」

税金を納めたところで、無駄な公共事業に使われる。働きもせずお金をもらえる生活保護に使われてしまう。ろくに働きもしない公務員の給料に化ける。席取りするだけで年合計3429万480円ももらえる国会議員の給料に化けるのはゴメンだ。

こう思う国民が多くいても仕方が無い。もちろん、誤解もあるだろうし、一面の真理かもしれない。

しかし、この発言、誰であろう鳩山首相自身の発言なのだ。鳩山首相が12日、東京・立石の立石仲見世商店街を視察した際の介護ボランティアについての感想である。

一国の総理大臣が税金を国に納めるくらいなら寄付したほうがましだとさえ受け取れる発言をしても良いのだろうか?これは、政府よりも寄付先の方がお金を有効に使えるという考えの表明にあたる。政府の方が民間よりも公共のためにより有効に、より公平にお金を使えるというのが徴税の根拠ではなかっただろうか?この発言は徴税の根拠を根本から揺るがす発言かもしれない。

もちろん、最近はNPO活動の社会的意義も認められ、資金的な面からも優遇する措置がとられている。例えば、現在日本には認定NPO法人に寄付をした場合、その寄付金が所得金額から控除される等の優遇措置がある。


(1) 個人が認定NPO法人に寄附をした場合  
寄附した個人の所得税の計算において、寄附金控除の対象になります。
・寄附金の額から5,000円を差し引いた額が所得金額から控除されます。
(控除限度額は、所得金額の40%)
(2) 法人が寄附をした場合  
寄附した法人の法人税の計算において、一般寄附金の損金算入限度額に加え、別枠の損金算入限度額が設けられています。
・一般の寄附金に係る損金算入限度額:(資本金等の額×0.25%+所得の金額×2.5%)×1/2
・認定NPO法人等に対する寄附金に係る損金算入限度額:(資本金等の額×0.25%+所得の金額×5%)×1/2
(3) 相続又は遺贈により財産を取得した方が相続財産を寄附する場合   寄附した人の相続税の計算において、その寄附した財産の価格は、相続税の課税対象から除かれます。
認定NPO法人に係る税制上の優遇措置について


しかし、この場合、あくまでも「所得金額」から控除される(所得控除)のであり、税額から差し引かれる(税額控除)わけではないから不十分だろう。

もし鳩山首相が述べたとおり

「税金を国に納めるくらいならその一部をこういう暖かい施設のためにボランティアでがんばっている人たちのために支援しよう、そういうことをやってみたいと感じました。」

を実現するためには、NPOへの寄付金は税額から差し引く等の法改正をする必要があるし、すれば良い。実際、ふるさと納税制度の場合は所得控除でなく、税額控除の仕組みを採用しているのだから。

2008年4月30日に公布された「地方税法等の一部を改正する法律」により、個人住民税の寄附金税制が大幅に拡充される形で導入された。地方自治体に対 する寄附金のうち、5,000円を超える部分について、個人住民税所得割の概ね1割を上限として、所得税と合わせて全額が控除される。2008年中に寄付 をした場合は、2008年の所得税確定申告により所得控除がなされ、個人住民税は2009年度分が税額控除される。寄付の受け入れや具体的な手順について は、各地方自治体が条例で指定する。http://ja.wikipedia.org/wiki/ふるさと納税

それにしても、国会で「脱税総理」と揶揄された鳩山首相自身の口から「税金を国に納めるくらいなら」なんて発言が飛び出すとは驚きである。

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