労働組合・連合系のシンクタンク連合総研の調査によると、男性非正社員の生活環境が、正社員だけでなく女性非正社員と比べても厳しいことがわかった。

それによると、男性非正社員は主に家計を支えている人でも収入が低く、配偶者が共働きでも非正社員のことが多く、世帯収支も赤字が62.9%と全体平均の38.7%を上回り、日常的に世帯収支が赤字になるという困窮状態。「税金や社会保険料を支払えなかった」(31.4%)、「食事の回数を減らした」(20.0%)、「医者にかかれなかった」(17.1%)など、現代の貧困層・ワープアの生活状態が浮き彫りとなった。また、男性非正社員の45.7%が今後1年間の失業不安を感じている。

本ブログでは何度も述べてきたことだが、現在、最も是正を必要とされているのは若年勤労層の雇用状態である。若年勤労層の中でも非正規雇用におかれた、派遣社員、アルバイトなどのいわゆるワープアこそが最初に解決しなくてはいけない課題だ。しかし、現政権が進めるように、非正規雇用から正規雇用への転換という形では問題は解決されない。なぜなら、現在のデフレ不況が続く中では、非正規雇用から正規雇用への転換は全体の雇用数をむしろ制限してしまうのであって、より多くの失業者を生むことになるからだ。

これに対して、現政権の基本的なスタンスは既得権層である正規社員の雇用を守る一方で、若年層の問題には取り組まないというものだろう。なにしろ、民主党の最大の支持勢力はいわずと知れた労働組合である。そして、労働組合は組合員=正規社員の権利を守ることを至上目的とした団体である。だから、必然的に、正規社員の権利は守っても、非正規社員の権利は眼中にない。こうして、まずは中高年を中心とした比較的高給を得ている正規社員の雇用と労働条件は守られ、そのしわよせが若年勤労者層へと向かい、次に、若年勤労者層の中での正規社員と非正規社員の格差となって現れる。

つまり、今起きていることというのは、成長しない経済=限られたパイを、既得権層(=中高年)が独占し、残りのわずかばかりのパイを若年層が正規社員と非正規社員に分れて奪い合っている姿である。

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http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/385690/

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