鳩山首相は12月22日、子ども手当には所得制限を設けない方針を示した。子ども手当については、これまで所得制限を設けるか、設けないか、設けるとすれば上限所得をいくらとするのかでずっと揉めていた。ここまで閣内一致はおろか、一つの政策についてどうなるかの考えがみなバラバラで、どちらに転ぶかわからないということも、これまでの政権ならば珍しいことだ。

今回、鳩山首相が子ども手当には所得制限を設けないという方針を示したことで、首相としての最初のアイディアに近い形に落ち着くようにも見える。一応、高所得者は地方自治体に寄付できる制度も設けるとは書いてあるが、まあ、こんなのは蛇足に過ぎない。寄付したいならば、これまでも好きにNGOなり、NPOなりに寄付できたのだから。

同時に、子ども手当の地方負担については現行の児童手当の範囲内でという方針を示した。

子ども手当に地方負担=現行の範囲内で-政府
政府は22日、2010年度予算編成の焦点の一つとなっていた「子ども手当」の財源の地方負担について、現行の児童手当の地方負担(約5700億円)を残す形で維持する方針を決めた。鳩山由紀夫首相が同日、記者団に「今まで児童手当に対して地方が負担をしていた。その地方負担分は変えない」と明言した上で、「それ(現行の負担)より多くはならない。今まで地方が払ってきた分はそのままご理解をいただこうということになりました」と述べ、従来の負担範囲は超えないとの認識を示した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091222-00000129-jij-pol


これについても、一時は子ども手当の大幅な負担を地方自治体に求めるような発言もあったことから混乱を招いたが、結局は、国が負担するという当初の話に戻ったといえるのではないだろうか。

つまり、子ども手当の所得制限、地方自治体の負担分のどちらについても、これだけ二転三転して、ようやく元の場所へ戻ったということだ。

見方を変えれば、政府はこれだけの時間と政治資源をつぎ込んで、一体何をやっているんだ?と考えることもできる。

それにしても、どちらにしても高所得者でも貰える子ども手当は「子どものいない低所得者から、子どものいる高所得者への所得移転」ということになり、貧富の格差を縮めるための社会保障の原則からははずれているということには変わりがない。


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