先日、藤井財務相の辞任を受けて、その後任として就任した菅直人財務相だが、就任会見で「円安方向に動くことが望ましい」と発言したことを受けて、為替相場は一時大きく円安方向へ。メディアではこの発言を問題視するものが多かった。
菅財務相:「90円台半ば」発言 苦言、相次ぐ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100109ddm002010123000c.html
菅氏、「円安誘導」過去にも=財務相の為替発言、問題に(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2010010800905
菅財務相 司令塔の責任を自覚せよ(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100109/fnc1001090224000-n1.htm
連日の円安誘導発言 「口先介入」市場に波紋(産経新聞)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/finance/343954/
しかし、メディアは菅財務相の「円安発言」を問題視しすぎではないだろか?
なぜなら、藤井前財務相は「円高容認発言」を行い、これは問題だったが、これは、財務相が軽々しく相場に言及するということに加えて、そもそもこのデフレ・不況下の日本経済で「円高容認」などと非常識なことを発言したその内容自体に問題があった。それに対して菅財務相の「円安が望ましい」という発言は、デフレ克服のために必要なことであり、なおかつ、それを就任会見で行うことにより日本政府のこれまでの円高容認路線からの決別を宣言したと見ることもでき、その区切りを明確にする意味では絶好の舞台だったとも考えられるのだ。
菅直人財務相は鳩山政権の中でもいち早く「デフレ宣言」を行った閣僚でもあるし、とりあえず、今回の円安発言とデフレ克服宣言は整合していてブレていない。しかし、それを口にしたからには、これからもっと、もっと力を入れて本気でデフレ克服への努力をしてもらう必要はあると考える。